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アイディアが著作権で保護されない理由

小説内で設定が被ったら、それはパクリだという方がいらっしゃいます。

その設定と言うのが、例えばトールキンの「指輪物語」のように世界観をきちんと作って、その世界の歴史や言語、風土等膨大な量の文章全てをひっくるめて指しているならば、そしてその膨大な量の文章をそのまま「引用」という形を取らずにひっぱってきたのならば、パクリだの盗作だの言えると私も思います。

ですが、だいたいこういう話をされる方の「設定」というのは、「エリートサラリーマンと駄目後輩の恋」とか「ワガママな王子と切れ者の従者の恋」とか「薄幸の少年と、その同級生の恋」とか(例がオリジナルJUNEに限定されているのをお許し下さい。気になる方はご自分のジャンルで王道物を思い浮かべて下さい…)。

「お嬢さん、それってお嬢さんが最初にやったとは言えないのでは? お嬢さんの前に、大勢の人がやったネタでは?」
というようなものなんですね。

私は「設定が被っている!ぱくられちゃった!」なんてことを言っている人達に、真剣にお訊きしたい。

「自分が後発になる可能性は、考えていないのですか?」

世界で最初の長編小説「源氏物語」が書かれてから約1000年です。
その間、どれだけの物語が日本の中でさえ、書かれたと思いますか?
その全てと自分は被っていないと、断言できる人などどこにもいないでしょう。
いや、いたとしても、どうやってそれを証明します?
証明する方法がないじゃないですか。

それならば、とにかく最初にその言葉の権利を主張した人が…と特許のように、一つ一つの短いフレーズにまで著作権で保護をする―――なんてことになったら、誰も気軽には小説が書けなくなると思いませんか?

例えば、あなたは「明るく、元気な少年」を自作に登場させたいと思う。
ところが、著作権庁に問い合わせると、「明るく、元気な少年」は既に著作権登録済みであり、規定の使用料を払わなければならないと言われる。
それでは、「元気で、明るい少年」ならば、と、問うとそれも登録済み。
じゃあ、「元気で、とても明るい少年」なら、「明るく、とっても元気な少年」なら……と表現を変えてみるが、全て登録済みだった。
あなたは泣く泣く使用料を払うことにしたが、実は他にもその少年の台詞や相手の形容、その他諸々の使用料がかかり、膨大な金額になることを知ったあなたは小説の公表を諦めたのだった。


あなたの言うように、アイディアにまで著作権の保護を求めたら、こういう世界になってしまいかねません。
ですから、現行の著作権法がアイディアを保護しないのは、先発者が使った単語やフレーズであるという理由だけで、

あなたが使える単語やフレーズを制限しないためなのです。

けして「あなたのアイディアを保護しないため」ではないのですよ。

参考/アイディアがいかに独創的であっても著作物と認めないとした判例

◆H13.12.18 東京地裁 平成13(ワ)14586 著作権 民事訴訟事件

弁護士の意見(Netlow内「知らないと危ない・インターネット著作権」より)

第2章 著作物−著作権法の保護の客体


BACK HOME    LINK FREELY. Written by Fuyumi    First edition: 13 March 2003 - Last update: 5 April 2003


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